季節の名句

目張(めばる)

夕山吹めばるの煮付そり返り 永井東門居
浜町の灯を浴び目張など見歩く 村山古郷
めばる煮てこころをわかつ皿二つ 古舘曹人

タイ釣りやカワハギ釣りに較べるとメバル釣りはかなり易しいといっていいかもしれない。よく覚えているのは、20年ほど前、能登の七尾北湾で2時間ほどで70尾釣ったこと。

そのときは、船宿で郷土食といわれるボラ飯をごちそうになったので、メバルを食うことはなかった。

メバルを旨いとおもったのは、2007年から2008年にかけて、四国遍路をやったとき、夏の土佐を皮切りに、秋は伊予、冬は讃岐、春は阿波と2泊3日か、3泊4日で、1国ずつ巡ったのだが、阿波の1泊目の宿はなかなか見つからず、やっととれた宿は、葬儀場の部屋だった。

その宿では夕食が出ないので、近くの居酒屋へ同行の俳人4人と行った。そのときそこで出たメバルの煮付けがかなり旨かったのだ。型も大きいメバルで、みんながこれは旨いといった。

そのメバルをつつきながら毎晩のようにやる句会をやったのだが、それもまた楽しかったことをよく覚えている。

(大崎紀夫)