わたしが小学2年生から3年生のころ、父がどこからかウサギを貰ってきた。そこで職人たちが急いで縁の下に枠を作り、そこにウサギを入れた。ウサギは3匹くらいいたか。
世話係はわたしということになった。ウサギにはまるで関心がなかったが、ともかくその日から、近所に出かけて、桑の葉やオオバコの葉を採ってきて、ウサギにやった。学校に出かける前に餌とりに出かけ、学校から帰るとまた餌とりに出かける日々が続いた。
面倒くさかったのは、雨の日で、濡れた草をやると死んでしまうぞ、といわれ、採ってきた葉を一枚一枚乾いた布で拭いたものだ。
そんなことが半年くらい続いただろうか。ある日、学校から帰ると、ウサギたちがいなくなっていた。どこかにやってしまったのだという。それを聞いてほっとしたが、一方でなにか拍子抜けしたような気持ちになったものだ。
ウサギを見ると、そんなことを思い出す。
(大崎紀夫)